アレルギー性鼻炎について

<アレルギー性鼻炎とは?>

“発作性反復性のくしゃみ、水様性鼻漏、鼻閉を主な症状とする鼻粘膜のアレルギー性疾患”です。


<有病率はどれくらいなの?>

・アレルギー性鼻炎の全国的な有病率に関しては、様々な報告がありますが、通年性アレルギー性鼻炎=10〜20%、花粉症=10〜15%と推定されます。

・1998年の全国調査の結果では、山梨県ではスギ花粉症の有病率が26.9%と推定され、全国で最も高いスギ花粉症有病率を示しました。


<アレルギー性鼻炎は増えているの?>

アレルギー性鼻炎は、慢性副鼻腔炎の減少に反して、1965年ごろより増加、1970年より急増しました。最近では、ハウスダスト・ダニによる通年性アレルギー性鼻炎患者数は、都市部では横ばいですが、町村部で増加しています。また、スギ花粉症患者は増加し、社会問題となっています。


<アレルギー性鼻炎増加の原因は?>

不明確ではありますが、次のような原因1)〜3)が考えられています。

1) 抗原量の増加

   1. 1950年後半からの住宅建設10カ年計画、1965年からの住宅ブームで気密性の高い建築様式が増加
          →ハウスダスト・ダニの増加

   2. 核家族、共稼ぎにより清掃が減る→ハウスダスト・ダニの増加

   3. 屋内居住時間の多いライフスタイル→ハウスダスト・ダニへの暴露を促進

   4. 戦後、建材、治水の目的でスギを植林→1960年ごろから花粉生産力の強い樹齢30年以上のスギの増加

2) 副鼻腔炎・幼少時の感染の減少

   →鼻粘膜1型ヘルパーT細胞(Th1)から、アレルギーに関与するサイトカインを分泌する
   2型ヘルパーT細胞(Th2)へバランスが傾斜した。 

3) 大気汚染、栄養、ストレスなどの因子。


◎以下の内容は、診察を受ける際の参考資料としてください。
 個々の患者さんで、その診療内容、治療方法は異なります。

<アレルギー性鼻炎の検査・診断法>

  ・まず、アレルギー性かどうかの検査を行います。

    1. 問診
      (年齢、姓、職業、症状の種類と程度、発症年齢、好発期、合併症、
           アレルギー既往歴、家族歴、過去および現在の治療歴と経過など)

    2. 視診(鼻鏡検査):鼻の中の観察を行います。

    3. 鼻副鼻腔X線検査:レントゲンで、副鼻腔炎を起こしていないか確認します。

    4. 鼻汁好酸球検査:鼻汁を採取します。顕微鏡で鼻汁中に好酸球が増えていないか調べます。

    5. 血液中好酸球検査、血清総IgE抗体定量:花粉症単独の患者さんでは、正常値のことが多いのですが、
      高値の場合は、アトピー性皮膚炎、喘息の合併も考えられます。

  ・次に、原因となる抗原(アレルゲン)を調べる検査を行います。

    1. 皮内テスト:皮膚に抗原エキスを注射して、その後の皮膚反応を観察します。

    2. スクラッチテスト:細い針で皮膚を軽くこすった後、抗原エキスを垂らし、その後の皮膚反応を観察します。

    3. 血清特異的IgE抗体定量:採血します。血液中のダニやスギなどに対するIgE抗体の量を調べます。

    4. 誘発テスト:両側の鼻粘膜にコントロールディスクを置き、鼻の反応が無いことを確かめた後、
      抗原ディスクを同じように置きます。5分間に起きる鼻の反応を調べます。

    5. ヒスタミン遊離試験:採血します。血液を各種抗原で刺激して、細胞からのヒスタミン遊離を測定します。

     (*1.2.4の検査を行う場合、検査の1週間ほど前から、アレルギーの薬を制限する必要があります。)

  ・その他の検査

    1. 鼻腔通気度検査など:rhinomanometry、acousitic rhinometry、呼気斑法などがあります。

  ・鼻の3主徴(かゆみ・くしゃみ、水性鼻漏、鼻閉)をもち、
   鼻汁好酸球検査、皮膚テスト、血清特異的IgE抗体検査、誘発テストが陽性であれば、
   アレルギー性鼻炎の確定診断となります。


<治療法>

1. 患者さんと医師の間のコミュニケーションが、まず大切です!
  患者さんと医師が協同で治療プログラムを作り、治療経過も協同で検討しましょう。

2. 抗原の除去と回避は、患者さんのみができることです。

ダニ→ 1. 室内の掃除には排気循環式の掃除機を用いる。1回20秒/m2の時間をかけ、週2回以上掃除をする。
2. 織物のソファ、カーペット、畳はできるだけやめる。
3. ベッドのマット、ふとん、枕にダニを通さないカバーをかける。寝具の洗濯を行う。
4. 部屋の湿度を50%、室温を20〜25℃に保つように努力する。

スギ花粉→ 1. 花粉情報に注意する。
2. 飛散の多い時の外出を控える。
3. 飛散の多い時は窓、戸を閉めておく。
4. 飛散の多い時は外出時にマスク、メガネを使う。
5. 表面がけばけばした毛織物などのコートの使用は避ける。
6. 帰宅時、衣服や髪をよく払い入室する。洗顔、うがいをし、鼻をかむ。
7. 掃除を励行する。
8. 薬物治療について

・重症度、病型、薬物治療により生じる副作用などを考慮して薬物を選択することになります。

・複数の薬を併用することもあります。

・例年、強い花粉症症状を示す患者さんに対しては、花粉飛散開始とともにあるいは症状が少しでも現れた時点で
 薬物治療を開始する初期療法が勧められます。

4. 特異的免疫療法について
  アレルギーの原因物質のエキス(製剤)の注射をごく少量から開始し、少しずつ量を増やしていき、
  アレルギーが起きないように体を慣らしていく治療法です。

5. 手術療法
  鼻粘膜の縮小と変調を目的とした手術(電気凝固法、凍結手術、レーザー手術、80%トリクロール酢酸塗布)、
  鼻腔通気度の改善を目的とした鼻腔整復術(下鼻甲介手術、鼻中隔矯正術など)、
  鼻漏の改善を目的とした手術(vidian神経切断術、後鼻神経切断術)などがあります。


<治療の評価>

1. 鼻アレルギー日記から、鼻症状をスコア化し、重症度を判定する。

2. 日本アレルギー性鼻炎標準QOL調査票により、quality of lifeの向上を治療効果判定に用いる。


<治療の目標>

  アレルギー性鼻炎の治療目標は、次のような状態になることです。

1. 症状はない、あってもごく軽度で、日常生活に支障のない、薬もあまり必要ではない状態。

2. 症状は持続的に安定していて、急性増悪が会っても頻度は低く、遷延しない状態。

3. 抗原誘発反応がないか、または軽度の状態。


<参考文献>

     鼻アレルギー診療ガイドライン-通年性鼻炎と花粉症-2005年版(改訂第5版)
           (鼻アレルギー診療ガイドライン作成委員会作成、(株)ライフ・サイエンス発行)


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